僕の生きている世界は小さい。
家と、仕事の往復が、そのほとんどだ。
仕事しているところも、家から20数分だから、近い。
僕は子供の頃、大人になったら、世界中とは言わないけれど、
仕事で日本中を行ったり来たりしてる、そんな大人になっているんだ、
そうおもっていた。
幼稚園から小学校、中学校、高校くらいまでだろうか。
自分の世界が広がっていっている、という実感があったのは。
僕は高校を卒業してすぐダイハツ工業に入社したので、
そこからは職場と家の往復生活が始まり、
夢とか希望とか、まだあったけれど、
仕事がそれを「暮らし」とか「生活」とかという名のもとに
どんどん、遠ざけていった。
やりたいことよりも、やらなければいけないことのほうが、
年齢とともに増えて行ってしまって、
それとともに、自分の世界はどんどん、小さいものになっていった。
今では、家の外に出るのすら怖く感じているのだから。
知識や経験、扱うお金や人脈など、年齢とともに広がっていくと思っていたけど、
僕の世界は、ある時を境にして、小さく小さく狭いものになっていった。
今の僕は知識もない、人脈もない、扱うお金もないし、すべてが小さい。
まるで未就学の5歳児とかわらないな、と思う。
家の近所のことすら、僕は知らない。
でも、それがいい事か悪い事かを考えることに、意味はないような気がしてる。
僕は50年生きて、とても小さい世界の住人になったんだ、という事実。
なんだかもやもやと、心の中で、うまく言葉にできない気持ちが、沈殿している。