愛のことば

54歳、妻子と住宅ローンあり、不安障害とうつを抱える男が闘病と仕事に就くためにもがき続ける毎日をつづるブログ

うつで仕事を失うということ

ふと思うことがある。

 

うつ等の病気で「仕事を失う」ことは、

 

心身ともに、生死に関わるかなり大きなダメージを与えるだけでなく、

 

 その人の人生において、最大級の危機、あるいは転換期になるということは

 

間違いないんじゃないかと思う。

 

 

そんな大げさな、という人も当然いるだろうけど、

 

少なくとも、僕は人生最大の危機だった。

 

 

 

ずっと続けていけると思い込んでいた前職を失ったとき、

 

その仕事に費やしてきた時間が13年だったことから、

 

ふと我にかえった僕は、50歳を目前に控えていた。

 

 

おまけに、前職は数年前から仕事がうまく行っておらず、

 

仕事の売上げがどんどん下がり続けていたとき、

 

不安な気持ちから、あれはどうだろう、これはどうだろうと、

 

様々なことに手を出して、一生懸命頑張ってやってはみるものの、

 

芳しい手ごたえを感じることが出来ず、

 

投資した分のお金を回収することも出来ず、損金ばかりが増えてしまっていた。

 

 

何をやっても、やればやるほど状況は悪くなる一方で、

 

そのときは金銭トラブルまで抱え込んでしまっていた。

 

 

 

 

八方塞の状況の中、毎日落ち込んだ状態で日々を過ごしているとき、

 

実家で肺を患っていた実父が亡くなったことをキッカケに、

 

もともと浅かった眠りが、夜中に目が覚めることが多くなり、

 

激しい動悸がするようになって、感情のコントロールが効かなくなってしまった。

 

 

 

先行きへの不安と恐怖、激しい孤独感、寂しさ、悲しさ、怒りなど、

 

いくつ物感情が混ざり合って、爆発するように沸きあがってきて、

 

涙があふれて、声を出して泣いてしまうようになった。

 

 

あまりの不安と恐怖で、家族や自分の将来のことどころか、

 

明日のことすら、考えることが出来なくなり、

 

次第に「消えてしまいたい」「死にたい」という希死念慮が、

 

頭の中を覆うようになってしまった。

 

 

仕事はしたい、でも不安と恐怖で頭が働かないのでできない。

 

そもそも集中力を維持できないし、「自分はもうダメだ」という思いに支配され

 

心身ともに疲労が激しく、仕事が全く出来なくなった。

 

 

夜、まともに眠れず、浅い眠りの中で悪夢を見る、

 

2時や3時に早期覚醒し、それ以降朝まで眠れず、

 

大量の寝汗をかき、何度も何度も

 

びしょぬれになったパジャマや下着まで着替える。

 

 

 

どこの店でロープか紐を買ってきて、どこで首を吊るか

 

どこの店ならこの時期に練炭を販売しているか、

 

そういうことばかりが、事細かに頭の中に映像として浮かんで支配していく。

 

 

 一体、誰が助けてくれるというのか。

一体、誰が僕のこの苦しみをわかってくれるというのか。

 

猛烈な孤独感、絶望感で、ただ震えているだけしか、できなかった。

 

 

 

妻から勧められて、ようやく心療内科を受診し、不安障害とうつだと診断された。

 

服薬しつつ、ほんとうに何も出来ない状態が一年半くらい続いた後、

 

経済的にいよいよ苦しい状況になってきてしまった。

 

 

自営業でやってきた僕には、休職手当て等の生活支援はなく、

 

まして退職したとしても、退職金もない。

 

 

前職で蓄えておいた預貯金を切り崩して生活してきたものの、

 

このまま何もしないで、自宅で「療養」し続けることは出来なかった。

 

しかも自宅で自営業をしていた僕は、仕事が出来なくなった今、

 

紛れもなくひきこもりだった。

 

 

精神疾患を抱えながら、一日中自宅にひとり臥せっている状態は、

 

不安や欝の症状が良くなるどころか、

 

過去失敗したことの妄想を頭の中で反芻したり、

 

そこから繰り返し湧き上がってくる強烈な不安や恐怖を増幅させるから、

 

僕から、「判断力」や「行動力」を奪ってしまうため、

 

 

不安と恐怖で思考停止して、ひきこもってしまうリスクがとても大きかった。

 

何とかして、「外に出る」ことが必要だった。

 

 

今の僕に出来る仕事を探し「外に出る」こと、

無理なことはしなくていいから、今の僕に出来る仕事に就くこと、

 

これが、僕が僕自身を救うための第一歩だった。

 

 

 

そう、キッカケは、仕事滞った事だった。

 

僕も含めて、自分というものを支えているもの

 

それが「仕事」だという人は多いと思う。

 

 

今回、僕の経験から感じた個人的な感想だけど、

 

40代以降の人が、仕事をなくし、何らかの精神疾患を抱えている場合での

 

職探しはかなりきつい、と感じた。

 

ハローワークの求人や、各種求人サイトやフリーペーパーなどの求人広告を、

 

ほんとうにうんざりするほど見た。

 

驚くほどの給料の安さだった。家族どころか自分さえも養えないような

 

最低賃金とほぼ変わらない金額の仕事も多い。

 

 

 

しかも、職探し自体に時間がかかってしまうことや、

 

繰り返される不採用によって、精神的なダメージが上塗りされることも多い。

 

自分はどこからも必要とされない人間なのか、という思いを持ったり、

 

求職活動自体への意欲もなくしてしまいがちになる。

 

 

そうして、仕事をしていない状態が長引くことで、自尊心や自己肯定感などと呼ばれる

 

「自分が存在すること」への安心感のようなものが、削れて、蝕まれて、

 

生きていく気力そのものを、なくしてしまう可能性だってあるんだと感じた。

 

 

 

今僕は、薬を毎日飲みながら、毎日得体の知れない恐怖と不安を抱えながら、

 

うつである事、不安障害であることを隠して、仕事をしている。

 

しょうがない、病気なんだし、仕事しないと食えないし。

 

 

経済的な面で、たしかに仕事は大事だと思う。

 

生活を維持していかないといけないから。

 

 

でも、仕事をするために生きるんじゃない、

 

自分が生きるために、自分が大事にするもののために仕事をするんだ、

 

という事を絶対忘れたくない、そう強く思っている。